英検準2級は「日常生活に必要な英語を理解し、また使用することができる」レベルで、目安としてはだいたい高校2年生くらいのレベルだとされています。
中学3年生なら英検3級合格が妥当なレベルということになりますが、私立の高校を目指す方や、帰国子女(非英語圏)のための特別枠で受験する方は、やはり準2級まで持っていた方がいいと思われます。
今回の記事では、中学3年間で学習する文法は習得済みで、準2級合格を目指す方への勉強方法などをまとめてみました。
これまでに小学生、中学生の準2級および2級合格者を何人も出してきた経験をもとに、これまでに英検対策の授業で行なってきたことなどをご紹介したいと思います。
中学で学習する文法をマスターしている方なら、高校生、社会人の方、小学生の子でも参考にしていただけると思います。
目次
英検準2級とは
まず、英検準2級がどのくらいのレベルなのかということを知っておく必要があります。
英検準2級は「高校中級程度」つまり「高校2年生程度」ということになります。当たり前ですが、普通の公立中学に通う生徒は、学校では3級までの文法しか習いません。
しかし、これまでの経験から言わせていただくと、3級までの文法をしっかり理解していれば合格の可能性も十分にあります。
もちろん、そのためには文法以外のところで対策をする必要があるのですが、それはこれから説明していきます。
3級にギリギリで合格したという方は、まずは中学3年間で学習する文法をマスターしてから準2を目指しましょう。
英検準2級の設問別対策
1・語彙
準2級に限らず、どの級においてもまず最初に問われるのが語彙問題。
3級は15問ですが、準2級は20問になります。ちなみに2級も同じく20問です。
この20問では、単語、熟語、そして文法が問われるのですが、ほとんどは単語と熟語問題で、文法は数問のみ。
ですから、高校文法を全く学習したことがない生徒でも、単語さえしっかり学習していれば、そこそこの点数を取ることができるのです。
単語は市販されている英検用の単語本を使って覚えていくといいのですが、これはかなりの量があり、普通の中学生が自力で1冊を覚えるのはかなり大変なことです。
私の生徒には、試験前に絶対に覚えておいてほしい単語、熟語をまとめたプリントを配っています。必要な方は自由にダウンロードして使ってください。
無料で公開している教材ですので、「こうしてほしい」などの要望や、「全然役に立たなかった」などのクレームは受け付けていません!また、再配布もご遠慮くださいね。
プリントの使い方ですが、英検の語彙はスペルをきちんと覚える必要はありません。ですから書く練習も必須ではありません。書いたほうが覚えられるという方は別として、そうでない方は英単語を見て日本語訳がスラスラ言えるようになるまで口頭練習してください。
文法も語彙として覚える
よく使う助動詞は表現として暗記してしまいましょう。
- should … …するべきだ(←3級)
- should have 過去分詞 … …するべきだったのに
- would often … よく…したものだ
- would rather … むしろ…したい
などです。まだまだたくさんありますが、未習の文法でも表現として覚えてしまえば解ける問題もありますので、できるだけ暗記しましょう。
本気で英語力をつけたい方は
必ずしも「英検準2級合格」がゴールではない方は、時間をかけて1冊まるごと覚えてしまいましょう。英語を本当に使えるようにしたかったら、こうやってコツコツと単語をインプットしていくことが大事だと思いますし、本来ならそうするべきです。
準2級の単語本を9割くらい覚えたら2級の単語にも挑戦してください。2級までの単語をある程度覚えてしまったら、洋書を読んだりしてアウトプットしていくのがいいと思います。
単語の勉強の仕方や多読(辞書を使わずに自分のレベルや好みに合った洋書を楽しんで読むこと)については近いうちに別記事にしたいと思います。
2・長文
語彙問題に続いて、次に出てくるのが空欄適語を選ぶ問題です。
ここを苦手とする生徒(自分で苦手だと思い込んでいる生徒)が多いのですが、実は、語彙と長文の対策ができていれば点がとれるところがこの空欄適語です。
ここが苦手な方は、単語の学習が不足しているか、長文を読む訓練ができていないかだと思います。
先ほども述べたとおり、ここは語彙と長文ができていれば特に対策をする必要はないと思うので、内容一致の長文の説明に移ります。
Eメール問題では全問正解を狙う
さて、準2級の長文の出題内容は決まっています。長文は2題。
- Eメール
- 説明文
この2つです。
確実に点数を取れるのはEメールです。難しい説明文と違って、わかりやすい文で書かれています。難しい単語もありません。
Eメールですが、まず確認することは「誰が誰に宛てて書いたものなのか」です。当たり前ですが、文の最後にある名前がEメールの送り主なので、Eメールの中に出てくる ” I “(私)というのは送り主を表します。
設問には ” I ” や ” you ” ではなく、それぞれの名前が使われますので、混合しないように気をつけてくださいね。
名前の確認ができたら、本文を読む前に質問1をまず読んでください。質問をよく理解した上で、パラグラフ1を読みます。
準2級のEメール問題は、パラグラフごとの設問です。ですから、パラグラフごとに丁寧に読めば答えはすぐに分かります。文内で使われていた単語がそのまま同じ形で設問中に使われているとは限りませんので、そこは注意が必要です。
また、質問の仕方にもポイントがあります。
例えば、「AさんはBさんに・・・してくれるように頼みました。」という文の「・・・」に当てはまるものを選ぶ問題があるとします。
ここは説明文ではなくEメールなので、本文を読んでも「AはBに・・・してくれるように頼んだ」という文はありません。
でもAさんがBさんに頼みごとをしているということは分かりますので、” Would you・・・? ” や ” Could you・・・? “ といった文があるはずです。
そういった、Eメールを読むコツを掴めば、きっとここでは全問正解できるでしょう。説明文での全問正解がむずかしい方は、まずEメールで確実に全問正解できるように過去問などを使って練習しましょう。
過去問は英検の公式サイトでダウンロードできます。
ライティング
ライティングの型を知る
準2級のライティングは、Do you think・・・?で始まる質問に、理由を2つつけて書くというものです。語数の目安は50語から60語です。
ライティングは型にはめて書く練習をする必要があります。はっきりと決まった型があるわけではないのですが、私の指導ではこんな感じになります。
①I think (またはI don’t think)・・・以下は質問文と同じ。
②I have two reasons.
③First, ・・・. ④もう一文プラス。
⑤Second, ・・・. ⑥もう一文プラス。
⑦For these reasons, I think (I don’t think )・・・。
つまり7文で完成させます。大体の目安は
①と②で20語。③と④で10語。⑤と⑥で10語。⑦で10語。
ただし、2つの理由を述べる文の語数が多くなってしまいそうな時には、②や⑦の文はカットしても良いと思います。逆に語数が足りない時には⑦で語数を稼ぎます。
英検の過去問の解答例では①の部分で、Yes, I do. (No, I don’t think so. など)と簡単に答えているものもありましたので、質問内容や語数を見ながら対応してください。
まずは日本語で考える
ライティングの型を理解したら、実際に書いて見ましょう。まずは日本語で考えるといいと思います。
質問に対してYesで答えるかNoで答えるかを決める前に、Yesならばどんな理由が書けるのか、Noならばどんな理由が書けるのかをまず日本語で簡単にリストアップしてみてください。
そして自分が書けそうな方を選びます。あなたの本当の考えを書く必要はありません。本当はYesだと思っていてもNoの理由の方が書きやすいのならNoの立場で書いてください。
ライティングでむずかしい文法や単語を使う必要はありません。自分が書けることを簡単な文法と単語を使って文を組み合わせるだけで大丈夫です。
- have to … …しなければならない
- don’t have to … …しなくてもよい(する必要はない)
- have no time to … …する時間がない
- It is important for 人 to … …人が…するのは重要なことだ
ライティングが苦手な人は、このような簡単な文を組み合わせてみてください。最後の文は、重要(important)の部分を、危険(dangerous)、簡単ではない(not easy)などに変換するだけで応用できます。
追記:2019年第2回検定を受験した中学3年生の生徒さんが、ライティングで満点(600点)を取りました!
試験の直前にやっておきたい問題集
試験が近づいてきたら、市販の問題集を使って、総合的な練習をしてみるといいでしょう。試験まで時間があまりない場合は、問題集の語彙のパートだけでもしっかりやりましょう。
語彙パートで出てきた単語は、全て丸暗記する覚悟で取り組んで見てください。
2次試験
さて、準2級の1次試験が終わったら、すぐに2次試験の準備に取りかかりましょう。
準2級の面接は、挨拶などのやりとりの後に、50語くらいのパッセージを音読し、その後に5問の質問に答えるというものです。カードにはパッセージの他に、2つのイラストが描かれています。
面接で聞かれる5つの質問
パッセージの音読が終わったら、5つの質問をされます。
- ①パッセージについての質問に答える。
- ②イラストの人物の行動を描写する。
- ③もう一つのイラストの人物の状況を説明する。
- ④パッセージと関連のある質問に答える。
- ⑤あなたについての質問に答える。
①の質問はパッセージについての質問です。パッセージの中に答えが書いてありますので、よく読んで答えを探します。質問された疑問詞に注意して答えます。
②はイラストの人物の行動を描写する問題です。イラストには6人の絵が描かれていますので、現在進行形を使って一人一人何をしているのかを言います。
単語がわからなくても、知っている単語に置き換えてなるべく全員の行動を説明してください。例えば、「雑誌を読んでいる」と言いたいのに「雑誌」の英語が分からなくても、「本を読んでいる」などに置き換えて答えてください。
2人で行なっている行動もありますので ” A boy and a girl are … ” ” Two boys are … “ などとすることを忘れないようにしてください。
③もう一つのイラストを見て状況を説明します。2文から3文で説明できればいいでしょう。「〜ですが、・・・。」や「〜なので、・・・。」という文が作れれば大丈夫です。
④パッセージのトピックについての質問です。ここからはカードを伏せるように指示がありますので、面接官の質問をよく聞いて答えます。
例えば、パッセージがスポーツについての話なら、運動が好きか、何かスポーツをやっているか、など、パッセージに関係のあることを1つ質問されます。
Yesと答えると、もっと詳しく教えてくださいと言われるので、何をするのか、何曜日にするのか、誰とするのか、いつからやっているのかなどの情報を加えて答えます。
⑤パッセージとは関連のないこと(関連がある場合もある)を聞かれます。質問の前に導入部分がありますので注意して意見を述べます。
例えば、「最近では・・・する人が多いですが、あなたは・・・するのはいいことだと思いますか。」というような質問です。
ここは1次試験のライティングのように、理由が言える方で答えるのがいいと思います。YesにしろNoにしろ、理由を尋ねられることが多いからです。まれに理由ではなく、別の質問が来る場合もあります。
堂々と答えることが大事
①から③までは割と簡単な質問です。たとえ答えが間違っていても、発言をすると何点かはもらえるので、最後まで諦めずに堂々と答えるようにしてください。
④と⑤は、あなた自身のことについての質問ですので、決まった答え方というのはありません。簡単な文でいいですので、自信を持って答えてください。
早く面接を終わらせようと、あまりに簡単な返事だけで済ませることは「アティチュード」に響きます。
ゆっくりでいいですので、焦らず、きちんと英語を使って意見を述べようという態度を示すことが大切です。
最後に
今回の記事では、準2の文法をまだ学習していない中学生を主な対象として準2級に合格する方法についてまとめました。
私は英語講師ですので、生徒の将来のことを考えると、小手先のテクニックで英検合格という肩書きを得るのではなく、本物の英語力をつけて実力相応の級に合格してほしいと考えています。
私の生徒のほとんどは小6または中1から文法を始めていますので、中3の秋には余裕を持った点数で準2または2級に合格しているのですが、中3になって飛び入りで入った生徒の場合はゆっくりと教えている時間はないので、今日の記事で紹介したような直前対策を行なっています。
個人的な意見になりますが、小手先のテクニックで合格できるのは準2級までだと思っています。「準2級合格」という目標を達成したら、ぜひ英語力を総合的に伸ばす学習を行ない、余裕を持って2級、準1級を目指していってください。
これを読んでくださった方が準2級に合格できますように!
おまけ
今までスピーキング力はあまり重視されてこなかった日本の英語教育ですが、これからは大学入試でも英検が重視されるようになってきました。
スピーキングやリスニングは、努力すれば詰め込みで覚えられる語彙や文法と違って、短期間に成果が現れるものではありません。
もし高校受験や大学受験、英検などでリスニングをアップさせたいと思ったら、オンライン英会話を受講してみるのもいい方法だと思います。
オンライン英会話なら毎日受講してもそんなに高くありませんし、リスニングやスピーキングを伸ばすのにちょうどいいかと思います。
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