台湾の春節の過ごし方について。某一般家庭の場合。

服を着た犬

台湾に来てもうすぐ20年になります。台湾で春節を迎えるのももうすぐ20回目ということになるのですが、今回の記事では、台湾の一般家庭ではどのように春節を過ごすのかについてご紹介したいと思います。

もしかしたら地域によって風習が少し異なるかもしれませんが、高雄市の某一般家庭の過ごし方の例としてお読みいただけたらと思います。

目次

春節

まずは春節について少しお話ししようと思います。

台湾では西暦の1月1日も元旦休みがあるのですが、基本的に12月31日も1月2日も普通に出勤します。学校もお休みは1月1日だけです。カウントダウンも各地で行われますが、台湾人にとってのお正月は西暦よりも断然農暦のお正月。

農暦のお正月は「春節」または「過年」と呼ばれ、時期はだいたい1月から2月となります。2019年は2月4日が大晦日、2月5日が初1(元旦)ですが、毎年少しずつずれるので、年によって1月だったり2月だったりします。

除夕

「除夕」とは中国語で「大晦日」の意味。台湾では農暦1月1日よりもむしろ大晦日の方がメインとなっていて、その大晦日にはやならければいけないことがいっぱいです。

春聯を貼る

大晦日にやることといえば、まずは門や玄関に春聯を貼ること。前の年の春聯を剥がし、新しい春聯に貼り替えます。

透天と呼ばれる一軒家の場合は、1階の門や玄関のドアの周りと、屋上に出る最上階のドアまたは大きめの窓にそれぞれ3枚の春聯を貼ります。

それから、窓や米びつ、食器棚などに「春」や「福」と書かれた正方形の赤い飾りを貼ります。「春」と「福」は逆さまに貼る風習もありますが、必ずしも逆さまに貼らなければいけないわけではありません。

旧正月の春聯 福と春の写真

大晦日のお祈り

大晦日にはご先祖様へのお参りが欠かせません。

台湾の一軒家は大抵3階〜4階建てと縦長い作りになっているのですが、その最上階に祭壇を設けているところが多いです。

夫の実家も4階に祭壇があるのですが、お祈りの時は義母が準備した料理を全て4階まで運ばなくてはいけないのがかなり大変。料理を祭壇に並べ、長さ30cmほどの線香に火をつけ、ご先祖様にお参りをします。

お参り自体は時間はかからないのですが、お供えした料理をご先祖様が食べ終わるまで片付けができないので、1時間ほど待機することになります。テレビを見たりしながら1時間ほど待ち、食べ終わったら料理を1階まで全て運びます。

ところで、ご先祖様が食べ終わったかどうかは、祭壇に置いてある赤い三日月型の「杯筊」を投げて判断します。台湾のお寺などで目にすることがあるかもしれませんが、家庭にも同じようなものがあるんですよ。

運悪く(?)、食事がまだ済んでいないようだったら、更に30分ほど待ってもう一度トライ。

聖筊

ご先祖様の食事が終わると、1階の外でご先祖様へのお供えである金紙を燃やします。ご近所さんもだいたい同じ時間帯にお参りをするので、かなりの量のススが舞い上がってちょっと大変。車庫のシャッターを閉め忘れるととんでもないことになります。洗濯物も外には干せません。

金紙を燃やし終わったら、4階までまた料理を下げに何往復かしなければいけないので、軽くふくろはぎが筋肉痛になるのも台湾あるあるだと思います。

大晦日の料理

大晦日には家族で鍋を囲むのが一般的。義実家でも毎年そうですし、旧正月が近くなると鍋のCMも多くなるし、フェイスブックの投稿にもほとんどが鍋を囲んだ家族写真がアップされているので、これは地域を問わない共通した習慣なんだと思います。

鍋以外にも多くの家庭の食卓に並んでいるだろうと思われるのは、根がついたほうれん草。

ほうれん草

根がついたほうれん草を茹でたものを、根の方からいただきます。これは長寿を願うもので、根の方から切らずに一気にいただくのが習わし。うちでは一口で食べれば噛んでも大丈夫なのですが、家庭によっては噛まずに丸のみしなければいけないところもあるのだとか。

根付きほうれん草以外にも、おそらく多くの家庭で振舞われるのが

台湾には「年年有餘」という縁起の良い言葉がありますが、これは「これからも毎年余裕のある生活ができるように」と言う願いを込めた言葉です。この「餘」(あまり)という字と「魚」という字の発音が同じことから、年末年始には魚料理が振舞われることが多いです。

義実家でも毎年必ず用意されている魚料理。余裕のある生活を願って、今年も美味しくいただきました。

カードゲーム

大晦日や正月休みでやることといえば麻雀やカードゲーム。義実家でも毎年みんなでカードゲームをします。

こちらは干支の絵が描かれたカード。何人でも参加でき、ルールも単純なので、うちでは大人に混じって子供たちも少額を賭けて遊びます。

干支のカード

こちらは大人向けのカードゲーム。子供も遊べないわけではありませんが、先ほどの干支のカードゲームと違って、こちらのカードゲームは麻雀のように4人で行うゲーム。簡単に言うと2枚のカードの丸の合計を競うゲームですが、こちらもお金をかけて遊びます。

カードゲーム

お年玉

子供たちが一番楽しみにしているのがお年玉。日本も台湾も同じですね!

台湾では「紅包」と言うのですが、名前の通り、赤いお年玉ぶくろにお金を入れて渡します。白い袋は、台湾ではお葬式に使われるものなので、台湾でお年玉や御祝儀を渡す機会があった時は、日本の白い封筒は使用しないようにしてくださいね。

ところで、台湾では、お年玉は大晦日に渡します。そして大人から子だけでなく、社会人になったら親にも紅包を渡します。子供たちは受け取るだけなので大喜びですが、私たちの懐がスースーするのは日本も台湾も同じですね。

以上、台湾の大晦日についてでした。