台湾に暑い夏が来ようとしています。忌々しい蚊も増えてきて、そろそろ面倒なアレの心配も出てくる頃。台湾に住む者が最も受け取りたくない通知・・・。それは「登革熱緊急防治通知」。デング熱の消毒通知です。
今回は、もしも台湾で「登革熱緊急防治通知」がきてしまったらどうすれば良いのかをまとめてみました。台湾に越してきて間もない方、台湾生活は長いけど通知は一度も受け取ったことのないラッキーな方、本格的な夏が来る前にデング熱の消毒がどんなものか知り、心の準備をしておきましょう。
目次
デング熱
夏になると台湾各地で感染者がでるデング熱。台湾では中国語で「登革熱」と言います。熱帯地域で発症する感染症で、感染源はデングウイルスをもつ蚊で、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されます。
デング熱にかかった人の隣にいるからといって感染することはありませんが、もしデング熱にかかった人の血を吸った蚊に刺されてしまうと感染する確率が高くなります。ですから通常デング熱にかかった人は入院ということになります。主な症状は、高熱、嘔吐、頭痛、関節痛など。ワクチンなどはありませんので、自分でできる対策としては蚊に刺されないように注意することしか方法はありません。
デング熱が発症した地域では、被害を拡大させないように政府機関が強制的に消毒を行います。それが今回の記事のテーマになっている「デング熱緊急消毒通知」です。
「登革熱緊急防治通知」
これは高雄市の通知ですが、もしこのような政府からの通知が届いた場合、私たちは消毒に備えて準備をしなければいけません。この通知が来たということは、その周辺でデング熱感染が認められたということです。その患者が住む家から、政府が定める範囲内の家全てで消毒が行われます。
通知には消毒日と時間帯が記されていますから、その日は家にいなければいけません。会社を休む場合は、この通知を欠勤証明として提出します。消毒日や時間帯を変更することはできませんので、止むを得ず家を空ける場合には、信用できる隣人などに鍵を渡しておきます。鍵を預けなかった場合は、警察の立ち会いのもと鍵師によって鍵が開けられ、強制的に消毒を行います。
消毒前の準備
デング熱の消毒は全部屋に施され、そしてかなり強力なものです。消毒の後は床はもちろん壁も拭かなければいけません。ですから、消毒液が付いては困る場所には覆いをしておく必要があります。
食べ物、赤ちゃんのおもちゃなど
少しでも消毒液が付いては困るものは、大きめのゴミ袋などにまとめて入れ、知人の家に置かせてもらうと良いでしょう。マンション暮らしの方は、一時的に強制消毒の入らない他の階の方に預かってもらうと片付けが簡単です。私は食べ物や収納できない細々としたものは、まとめて袋に詰め、車の中に入れておきました。
家具
家電だけでなく、家具も消毒づけにはされたくありません。ですから、ホームセンターなどでマスカー(ペンキを塗る時に使用する、テープとビニールが一緒になったもの)を購入して、家具やキッチン周りを全てマスカーで覆いました。デング熱が流行る時期はマスカーが売り切れることが多いので、早めに確保しておいたほうがいいと思います。小北百貨などのホームセンター以外には「五金行」(工具屋)と書かれたお店にも売っています。
上にはテープがついていますが、下にはついていませんので、自分でガムテープなどで貼り付けてください。消毒は強力なので、頑丈に留めておかないとシートが剥がれてしまいます。
ペット、魚
消毒の間は、住人は外で待機します。消毒後1時間は中に入れませんので、トイレなどは済ませておきましょう。ペットも一緒に外で待機しますので、お水やおやつなども用意しておきます。
飼っている魚は、できるなら水槽ごと外に出してあげたほうがいいのですが、水槽の持ち運びが困難な場合は、魚だけ一時避難させるか、それが無理なら水槽に蓋をして密封してください。また、蓋をあけるのは、消毒が終わって1時間経って、家の中をきれいに掃除した後まで待った方が安心です。
消毒当日
いつも時間にルーズな台湾も、この消毒の時は時間ぴったりに来ました。準備ができていなくても待ってくれませんので、準備は早めに終えておきましょう。窓は全て閉めておきます。
先ほども少し触れましたが、消毒後は1時間外で待機です。中には入れませんので、外で過ごすのに必要なものは持ち出しておいてください。あとでうちに入る時に使用するマスクも忘れずに準備しておきましょう。
指示には必ず従う
消毒には、消毒の人以外に、政府から派遣された人たちがいます。その人たちは、きちんと消毒が行われたがを撮影し、記録します。指示に従わない人がいた場合は消毒エリアにスタンバイしている警察に連絡を取って対処します。
指示に従わない場合は30万元以下の罰金になりますので、くれぐれも指示に従ってください。
消毒後は
消毒後は1時間待ってから中に入り、すぐに全ての窓を開けて換気しましょう。床が消毒液で濡れているかもしれませんので、滑らないように注意してください。マンションと一軒家(台湾では「透天」と言います)では違うかもしれませんが、窓を開けたらしばらくまた外で待機するように指示されると思います。
換気がすんだらマスカーを取り除き、モップをかけましょう。壁も拭いた方がいいです。部屋数にもよりますが、かなり大変な作業になり、時間もかかります。小さなお子さんがいらっしゃる場合は、この日は誰かに預かってもらうなどした方がいいかもしれません。
最後に
私は今までに3回消毒を経験しました。3回ともダンナも私も仕事を休み、一日中作業をしました。最初の2回はあまり覚えていないのですが、最後の消毒日は、朝の9時から始まり、全てが片付いたのは夕方5時頃でした。できることならもう経験したくないことですが、通知が来てしまったら従うしかありません。ある親戚のうちの周辺は同じ年に2回も通知が来て、とても大変な思いをしたと言っていました。
マンションの場合は、感染者の住居の上の階と下の階に消毒が入るようです。透天の場合は範囲がもっと広くなります。どちらにしても、通知が来てしまったら早めに荷物をまとめ、マスカーを手に入れるようにしましょう。
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